高橋務  柿柴麻衣子             
 
  壁がマンゴー色。中華料理店からしかにぬ雰囲気に驚きながら、常連客から一押しと聞いてきた麻婆豆腐をいただいた。
 コクの深いひき肉と、軟らかめの豆腐。山椒の香りがほとばしり、辛みで舌がヒリヒリする「しびれる感覚がいいでしょ?」
 技を見せてもらう。強火の鍋に、中華風甘みそ・甜面醤で炒めた豚ミンチを勢いよく入れ。
 r\2[、豆腐、しょぅゆを次々と力強く鍋を動かしつつ、紹興酒、中国山椒、唐辛子、青ネギなども加え、ものの4分で出来上がった。
 「30代初め、横浜中華街の店で教わりました」。その店にいた高橋さんの師匠は、中国・大連のホテルの元料理長。「自分で作れ。食べろ」と優しく指導され、味覚を磨く修行でもあった。
  1980年、大学入学時に島根から京都へ。団塊の世代らが様々、活動する「自由な空気」の影響をうけ、「自営業がいいな」と思うようになつたが、横浜中華街の店に勤めてからは、まっしくら。95年に独立し、25年目を迎えた。変わった店名を付けたのは、「僕の顔がラクダに似ているから」なんですつて。
 井上里葎子=フリーランター
















京都市左京区「駱駝」





高橋務さん(59)

中華街仕込み ヒリヒリ麻婆
はちみつDAYS  (岐阜市=秋田屋)
 蜂蜜の魅力を知ってほしいと、老舗養蜂問屋が「料理別の蜂蜜」を作った。人気の6種セットはトースト、グラノーラ、ヨーグルト、パンケーキ、コーヒー、カレー専用。
 取れる場所や蜜源となる花や木、採蜜方法などによって味が異なる蜂蜜の特徴を生かし、りょりとの相性を徹底的に研究。何度も試作し、数種類の蜂蜜のほか、必要に応じてバターやフルーツなどをブレンドする。
 ひとさじで味の違いが感じられ、中でもカレー専用は絶品。奥深いコクとまろやかさが加わり、料理の腕が上がった気分になつた。
 (旭ファミリーニュース社・畑 美佑)
   
 親に学び 3代目の挑戦
  田光一さん(40)  大阪市西淀川区 「わがし屋 よだもち」 
 お手製の飛び石を踏み、ガラス戸を開けると甘い香りが広がる。
 「机も古い木材から手作りしました」。帽子にエプロン姿と木工職人のような奥田光一さんは、大阪で和菓子屋の3代目として生まれた。しかし、高校卒業後は建設会社で7年間設計を担当した。「跡を継ぐ=味を守るという思いが強く嫌だった」
 そうはいっても、商いをしたいと考えた際に浮かんだのは、慣れ親しんだ和菓子だつた。父の元で一から作り方を教わり、2014年に店を開業。かつての工場地帯・御幣島に出店した理由は「若い世代が増えてきた場所で自分も始めたかった」
 コシのある団子は、蒸し終えると扇風機で一気に冷やす。あんこは、北海道小豆を商品に応じて焚き方を変える。こしあんはサラッと、粒あんは豊潤な口どけに。みたらしは仕上げに焼いて香ばしさを足し、きな粉は甘い物から苦いものまでブレンドする。古典的と言いながら、製法を突き詰めた工夫の積み重ねが個性を生む。
 「老舗どら焼き屋のブツブツした焼きムラが目標」と言う卵やきは、シフォンケーキのように卵黄と卵白を別建てで泡立てる。フワフワのできたてを頬張れば誰もが笑顔に、「子どもからお年寄りまで、ホッと和める和菓子を作りたい。
 (姫路まさのり=放送作家)  
 2019.11・8 朝日新聞夕刊