新型コロナウイルスに感染した遺体とどう向き合うか、遺族が大切な人を納得して見送ることができるよう。弔う方法を模索する。
 厚生労働省は火葬前の遺族の対面や捨骨を制限しない。だが葬儀業者の中には、感染を恐れてそれらを禁じたり、依頼自体を断ったりすることもある。「遺族はわらにもすがる思いで頼ってくるのに」と残念がる。
 元警察官。25歳の時、父が埼玉県で始めた葬儀屋を母に頼まれて手伝うようになつた。しぶしぶ続けるうちに母が病死。その後、葬儀の依頼が次々舞い込んできた。
 母が入院先で「ご家族が亡くなったら息子に連絡を下さい」と名刺を配っていたのだ。「どう見てもあな  
他のお母さんの方が先にいきそうだつたから、つい名刺をもらった」と依頼者が打ち明けた。しだいに葬儀の仕事にやりがいを感じていた。
 感染予防の大切さは身にしみている。病院の遺体を引き取っていた仲間の業者がB型肝炎に感染して亡くなった。以来、独学で学び、同業者向けに感染予防の講習会を20年にわたり続けてきた。
 新型コロナウイルスでも講演依頼が相次ぐ、遺体を引き取る時の消毒方法や注意点のほか、遺族には消毒したひつぎに触れてお別れしてもらうといったことをオンライン会議などで指導する。「亡くなった人を、尊厳を持って最高の形で送りたい」
      文・写真 平山亜里
 ホー先生 本人の同意がない不妊手術を許してきた法律について判決が出たね。
 A 戦後まもない1948年、「不良な子孫の出生を防ぐ」のを目的にして、旧優生保護法のことだね。政府はこの法律をもとに、障害のある人たちへの不妊手術を進めた。本人の同意を得ない手術も認めていたんだ。   
  一律320万円を支給するが、損害賠償には応じない構えだ
 ホ どうしてこんな法律できたんじゃ?
 A 当時の年間出生数は今の約3倍あり、食糧不足対策して出産を制限しようとする動きがあった。国会では「遺伝性の病気を持つ人が生まないようにすることが必要」といつた差別や偏見にもとづく意見が広く支持され、全会一致で可決されたんだ。
 ホ 手術は、誰が決めて行った
んじゃ?
 A 医師が手術が必要と判断した後、都道府県の審査会が手術するかどうかを決めた。厚生省(当時)は「やむを得ない事情があれば拘束したの、だましたりして手術をしてもいい」と通知。都道府県に件数を増やすように催促もした。その結果、遺伝性とされた病気や障害のほか、精神障害や知的障害、ハン
 セン病患者など約2万5千人が被害者になったんだ。
 ホ ひどい話だ。
 A 70年前後から抗議の声が障害者から上がり、90年代に入ると国際社会から批判も受けた。「母体保護法」に改定し、強制不妊手術の規定を削除した。
 ホ 政府は被害者にどんな対応をとっているのか?
 A 60代の被害女性が18年、初めて国に賠償を求める裁判を仙台地裁に起こしたのをきっかけに昨年4月ね被害者に一律320万円を支給する「一時金支給法」が議員立法て゜成立した。ただ、これまでに全国で24人が裁判を起こしているけれど、政府は損害賠償には応じない構えをとったいるよ。
       (田中瞳子)
2020(令和2)7/3   ひと&わかる 朝日新聞朝刊