アウルさん 新しい技術で栄養価を高めた野菜が売り出されるの?
 A 筑波大発のベンチャー企業が、ゲノム編集技術で開発したトマトのことだね。ストレス軽減や血圧上    
遺伝情報を書き換えて栄養価を高めたよ
昇を抑える「GABA」という成分の含有量をふつうのトマトの5倍ほどに増やした。今月、第1号の「ゲノム編集食品」として国に届け出て受理されたよ。
 ア ゲノム編集って? 
  A 細胞の中にある生命の「設計図」である全遺伝情報(ゲノム)のねらった場所を自在に書き換える技術だ。従来の農産物の品種改良では、突然変異を利用して求める性質が得られるまで交配を繰り返すが、この技術なら短期間で同じことがてきる。
 ア すぐに店頭に並ぶの?
 A 開発して企業の話では、まずは希望かる家庭菜園向けの種を無料配布する。農家向けの種の販売は秋以降になる見込みで、収穫されたトマトが食卓に上がるのは早くても2022年の初めごろになりそうだ。
 ア ふつうのトマトと見分けがつくのかな?
 A 見た目は同じだ。今
 回のトマトは、編集でねらった遺伝子を働かなくてGABAを増やしている。これまでの品種改良と変わらないので、国は販売する際に表示などを義務づけていない。企業側は「消費者の選択の自由を保障する」として、表示を約束した農家のみに種を売ると言っているよ。
 ア 他のゲノム編集食品も後につづくのかな。
 A 国内では芽に毒のないジャガイモや肉厚の魚、収穫量の多いイネなどの開発が進んでいる。ただ、「未知の技術で生まれた食品は口にしたくない」としう消費者の声は根強い。社会にどれだけ受け入れられるか、食品メーカやスーパーなどは様子を窺っている段階だ。
      (庄司直樹)
 初めてシャッターを切ったのは、ミノルタの小型カメラを父にもらった小学3年生の時だった。東京・池袋に住んでいた。「父は大工で、カメラが好きで写真館を開くことを夢見ていました」
 広告デザイナーをへて光学メーカー「タムロン」に入社。43歳のとき会社がカメラメーカー「ブロニカ」を吸収し、開発チームの一員として新機種の試作品を手にする。「描写の美しさに驚愕し、撮影に目覚めたんです」
 廃棄物工場の風景を撮っていた2008年。父が「枯れ葉のような最期」を迎えた。古びた工場と父が心の中で重なった作品は14年、仏アルル国際写真祭で「物語性が高く、美しい」と評価された、会社員とし
て還暦を迎える頃、写真家の道筋が見えてきた。
 翌年、母の他界。追憶を胸に青森の恐山など東北を撮り歩いた。作品はイタリアの写真財団に収集され、ミラノで個展も開いた。米国の美術館にも収められている。
 今年11月、写真展「私は彼女と長い夢をみる」を東京で開いた。彼女とは、5月にがんで亡くなった美術家の秦碧さん。「昨年、回復を祈りながら修道院で十字架や夜空を撮りました」。手作りの写真集にして病床の友に贈った作品を、会場にかかげた。
 いま木彫りの仏像と修復家を撮影する。「先人の祈りを支えて来た仏像の再生と継承の物語」に魅せられている。文・写真 鬼室黎
令和2年(2020.11.25)      朝日新聞朝刊