内田理央  屋比久知奈  三浦春馬  桜井ユキ& 片岡秀太郎  永作博美         
15年後のノラ 経験を栄養に
  くこともある。私にとって、演技派修行です」
文・藤谷浩二
写真・篠塚ようこ 
 「永作博美主演「人形の家Part2」
予告編
めるのではと 夫に支配されていた人生に気づき、自由を求め、ドアを開けて家を出ていくノラ。イプセンが140年前に書いた近代古典の名作「人形の家」にもしも続きがあったら・・。
「永作博美がそんな難題に挑んだ現代劇「人形の家Part2」に主演する。15年後、再び家に帰って来たノラの運命は?
 「台本を読むと、どの言葉も辛辣だし、納得度の高いせりふだつたりする。展開のスピードもすごく、とにかく面白かったので即座にやりたいです。と。正直もう少
し途中で休めるのではと思いましたね」と笑う。
 米劇作家ルーカス・ナスが2017年にブロードウェー・デビューを飾った作品で、トニー賞8部門にノミネートされた。5幕からなる劇はノラと夫トトルヴァル(山崎一)、乳母アンネ・マリー(梅沢昌代)、娘エリー(那須凛)との2人芝居が連なる形で上演される。永作は出ずっぱりだ。
 家出の後、作家として成功したノラは夫との離婚手続きのために帰宅するが、3人と様々な会話を交わすうちに、過去への感慨や新
 たな感情にとらわれる。
 「書いた人も違うしも書かれた時代も違う。ノラは原作とはまつたく別の人間ですが、一方で古典の世界へタイムスリップする印象もある。自分ではうまく言葉に出来ないけれど、どれも知っている感情が長くすぎてせりふもに込められている。表面上は強くても、揺れている心を見ていただければ」
 ドラマや映画への出演が多いが、舞台も大切にしてきた。思い描いた演技に到達できず苦しんだ時期もあつたが、自らの人生経験を重ね合わせて表現するようになり、迷いは晴れたという。地に足のついたその姿は、劇中の自立した女性・ノラにも通じる。
 人間も表現するのに芝居だけでは追いつかない。自分の経験や感情を駆使しないと、役者にとって、経験は栄養なんでしようね。ライブで激しく伝え、それを毎日繰り返しても、常に気づ
 
 
 
 
 「葬式の名人」
  予告編
 川端康成ゆかりの街の物語
 
 大阪・茨木市で全編撮影
 ノーベル賞作家の川端康成(1899~1972)の作品群から想を得て、川端が思春期をすごした大阪府茨木市で全編撮影した映画「葬式の名人」(樋口尚文監督)が9月20日から公開される。主演は前田敦子と高良健吾。亡霊がさまよう異界と現実のはぞまにいざなわれる。風変わりな青春ファンダジーだ
 大阪市生まれ、幼くして両親に死に分かれた川端は祖父母に引き取られ、茨木に移り住む。やがて祖父母も亡くなったが、旧制茨木中学「現・府立茨木高校)を卒業し、18歳になるまで暮らした。
 物語の舞台は、川端ゆかりの茨木高校。同校を10年前に卒業した雪子(前田)は、ひとり息子を育てるシングルマザーだ
 ある日、彼女に、同級生だっ
 た男の悲報が届く。ふたりは深い仲だつた。同級生が弔いのために集まると、通夜を母校で営むことになる、その夜、遺体は消え去り、雪子はこの世のものではない光景を見てしまう。
 映画は、茨木市が市制70周年の記念事業として制作に協力。ふるさとの納税を活用したクラウドファンディングで2400万円を超える寄付金を集めた。茨木高卒業生の脚本家、大野裕之が「葬式の名人」「十六歳の日記」
師の棺を肩に」などの川端作品を手がかりに、オリジナルのストーリをつくりあげた。
 初めて母親役を演じる前田の起用は、映画評論家でもある樋口家督のたつての願いだつた。「ちまちました小芝居をしないで、どーんと自分を捨て身で投げ出すような演技をする」とほれみんでいたという。
 「死者の目が、笑いと涙の青春ドラマを冷徹に見つめているようなタッチで撮った」と樋口監督。その後味を、熱血漢の同級生を演じた高良は、こう表した。「冒頭からラストまで、ワンシートにひとつずつ、心地よい違和感がある」       (保科龍朗)
(令和元年) 2019.9.15日(月)     朝日新聞夕刊