内田理央  屋比久知奈  三浦春馬  桜井ユキ& 片岡秀太郎  永作博美  笑福亭鶴瓶  大悟   中井貴一  
笑顔で 真顔で 人を見つめる  
  この国民的芸人から、喋りと笑顔を抜くとどうなるのか。
 精神科病院で暮らす元死刑囚を演じた。「楽」というほど「無口な役」。役作りで「7キロやせて」、丸っこく福々しいえびす顔も影を潜めた。別人だ。
 主人公・梶木秀丸は、世間から遠ざけられた吹きだまりような病院で、風変わりな寛恕仲間に囲まれ暮らす。患者は幻聴で暴れる、飛び降りる。でも仲間を心配する助け合う。平常と変調の境目はあいまいだ。
 「わしは世間に出たらあかん人間や」と話す秀丸も善か悪か、線引きせずに物語は進む。全体を貫くのは、秀丸が仲間を見る目の確かさ。上辺の凶暴さや無気力の裏に潜む、寂しさややる゛なさといった心の奥に目を向け、寄り添う。「ただ見守ってる」。「俯瞰で見るところ」は自身と似ているという。
 多様な人を見て育った。大阪の下町で、隣近所と密着した長屋暮らし。人間観察が楽しかった。「おこし(下着)のまま歩いてきはるおばちやん、テレビを泥棒みたいに安くくれるおっちゃんがいたりし、近所のおっちやんとおばちゃんが躍って家で重なってたり」。風呂場では入れ墨入れてる人も一緒だつた。「子どもに『ちゃんとリンスしいや』で繊細なこと言う」。常識や見かけを超えたものを「おもろい」と感じ、お笑いの世界に入った。
 複雑怪奇な日常からお笑いをすくう。支えてきたのは人との関わりだ。街中で握手した人は数知れず。「小便しながら」したこともある。大阪・天王寺駅の便所で、隣りで用足していた人に手を差し出された。「汚い恰好やかせせえへんとか、そんなんない」「分けるとおもしろさが出ない。そっちはそつちの世界になる。分からへんからええねん」。人間への強い肯定感が、芸の土台になつている。
 閉鎖病棟は、分断された管理社会の象徴だ。不寛容で潔癖な空気を映し、病とは何かを問う。「いろんな人がいてはるからおもしろい」。細い垂れ目で、人を良く見ている。
       文・土井恵里菜 写真・小川智
 
 連続ドラマ・小関裕太    「お笑いの間」先輩に学ぶ
    若手俳優の小関裕太が、連続ドラマ「死亡フラグが立ちました!」(関西テレビ)に主演している。相棒役のドランクドラゴン塚地武雅らと繰り広げるコメディーミステリーだ
    小関演じる都市伝説雑誌のライターは編集長に廃刊の危機を告げられる。売り上げを伸ばすために、先輩(塚地)と「死神」と呼ば
小関裕太(右)と塚地武雅「死亡フラグが立ちました!」から=関西テレビ提供   ドランクドラゴン塚地と共演
 れる殺し屋の正体に迫ろうとする。塚地と初共演という小関は「日を追うごとに塚地さくの『笑いの間』がしみこんできました。勉強になりました」
 ライター役を演じるにあたり、取材を受けるときにインタビュアーのしぐさを観察。ネックレスや名刺入れなどの小道具にもこだわり、自ら案を出して役を作ったという。
 撮影は真夏で「殺人的な暑さだつたが、全力ダッシュシーンもこなした。「2019年の夏をこ
 の夏をこのドラマに捧げるつもりでやりました。熱い夏を過ごしました」と爽やかに語った。
 原作は、七尾与史の同名小説。2010年に宝島社の「このミステリーがすごい!」(このミス)大賞の最終候補に選ばれた。
 放送は毎週木曜日1(金曜午前)0時25分から、関西テレビと動画配信サービスーNEXT」は、7月から「このミス」大賞の関連作をドラマ化しており、今作が3作目。来年は「連続殺人鬼カエル男」(中訳七里)、「ユリコは一人だけになつた」(貴戸湊太)の放送・配信予定している。
       (杢田光)
 カエルクリックで動画  
 令和元年(2019.11.4日)   朝日新聞夕刊