内田理央  屋比久知奈  三浦春馬  桜井ユキ& 片岡秀太郎  永作博美  笑福亭鶴瓶  大悟  中井貴一  
 
   「ほんっとうに、最初は戸惑いました。取材開始早々、俳優歴40年のベテランに打ち明けられ、こちらも、ちょつと戸惑った。
 出演中の舞台「風博士」は、坂口安吾の同名短編小説に着想を得て、劇作家の北村想が自由に筆をふるつた。戦時下のある大陸を舞台に、仲井演じる「女郎屋」を営む男。フー三都、駐在地の大尉(段田安則)や兵隊(林遣都)、爆弾のショックで心に傷を負った少女(趣里)らとの交流が描かれる。
 風船爆弾の研究者ムダツタフーさんは、つかみどころのない人物。「感情を表すセリフがない。みんなの感情を受けて説明するので、そこもストレスがたまるところで・・」。悩んだ末に「考えて言う」ことをやめたら、答えが見つかった」。「俺は風になるんだ」
 女性たちの痛々しい境遇や、若者の無残な死。戦争の過酷な現実を踏まえつつ、脚本は最後まで、ユーモアを失わない、「悲惨さばかりを『戦争』と言うのだけれど、みんなは冗談も言うし、生活もしているのだろうし。そういう『風』が、そこに流れているはず、
 というのが今回の舞台なんじゃないかな」
 仕事を受ける時は、台本ありき。「時代だけに迎合しているのが嫌いなんです。『今のテレビドラマの流れはこうですから』と言われると、げんなりするタイプ」逆境にある時代劇に出演を続けるのも、一色に染まるのを良しとしない、そんな精神だ。
 映画「連合艦隊」でデビューした時は、19歳。演劇青年でもなく、芸能界への強い憧れもない。そんな自分が働き続けるために、目的地が必要だと思ったそれは「50代、60代で飯が食える俳優になる」こと。若き日の自分との約束が果たせ今、「僕たちはつなげていく世代に入った気がする」
 「最近、人は死ぬんだということを痛感させられるようになった。だから、先輩たちから受け継いできたものを、後輩たちに良い形で継がせたいと、。自分と関わったやつらには、『早回り』をさせてあげたいんです」
文・増田愛子 写真・池永孜子
「風博士」(小野寺演出)には、吉田羊、渡辺えり、松沢一之、内藤裕也、大久保祥太郎も出演
13日まで、大阪市立中央区の森ノ宮ピロティホール。キョードーインフォメーションにて。 
 
貧しい時代から支えた大人 
  桂米朝さんがこの世を去り、今年の3月で丸5年。大阪市松竹座では2月に「喜劇なにわ夫婦八景 米朝・絹子とおもろい弟子たち」が上演されます。米朝さんの伴侶で、6年前に亡くなった絹子夫人の人生模様を描く舞台となるようです。
 絹子さんと交際していたころ、米朝さんは桂春坊(二代目露の五郎兵衛)と大阪市今の句で間借りしていました。志はあれど、収入は乏しい噺家生活。更科という近所のそば屋の請求書が米朝家に残っています。きつね丼60円、カレーライス80円、サイダ
夫婦描いた舞台 来月上演 
-30円・・。米朝さんは春坊と合作でこんな狂歌を作りました。
 落語家の若手おそばをかけて喰いふみたおすとは何をさらしな
 絹子さんは、大阪・天満の大店の乾物問屋に生まれました。大阪松竹歌劇団で活動し、その後は「駒ひかる」の名でダンシングチームの座長を務めていました。2人の出会いは巡業公演てのことです。
 結婚したのは昭和33年。雑誌の記事によれば、結納金は絹子さんが自分のお金を包み、母親に渡すよう米朝さんに持たせたようです。米朝さんが華々しく世に出る前から支えていた絹子さん。米地様さんと芸の磨きを早くに見つけだしていたのでしょ 。
  (落語研究科・小澤絋司)
 令和2年(2020.1.14日)   朝日新聞夕刊