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 オディロン・ルドン  
「夢想 」 (わが友アルマン・クラヴォー) 
想い出に  V1.日の光  (1891年)
 友人の影響 色濃く投影
  一つの出会いが、その後の人生を大きく変える人がある。ルドン(1840~1916)の場合、植物学者クラヴォーとの10代での出会いがそれだつた。
 クラヴォーは、藻の研究者であると同時に、文学、哲学、神秘思想にも造詣が深い博学の人だつた。長じて画家になったルドンは、前半生は木炭画や版画で黒を巧みに操り、後半生は水彩や油彩による色彩豊かな表現に移行した。進化論や発生学から、神話や物語の怪物まで幅広いモチーフを選んだが、そこには一回り年上の友人の影響が色濃く残る。
 今作は、そのクラヴォーが自死した翌年に刊行された追悼版画集「夢想」の中の一葉である。起用烈な幻想世界を描く画家にあって
 は、窓越しの木を描いただけに見える絵はまわりに普通のようで、会場で見逃してしまうかもしれない。
 しかし、よく見ると何かがおかしい、-。部屋には謎の球体が浮かんでおり、中央の木はずいぶんあいまいな描き方だ。
 一体何を表現したかったのか。三菱一号館美術館の安井裕雄学芸員は、「若葉が茂る木は再生や転生の暗示、球体は生前のクラヴォーが顕微鏡でのぞいていた微生物のようでもある。多くのルドン作品のように様々な解釈ができます
 2本にも見える木は若き日の画家と植物学者の象徴、謎の球体は、この世ならぬ存在もあると教えてくれた友人への追慕・・。そんな見方も許されるだろう   (木村尚貴)