市川崑監督の映画が現代に舞台を移してよみがえる。連続ドラマ「黒い十人の女」(読売テレビ系、水曜午後11時59分)が29日から始まる。主演は船越英一郎。映画で父の船越英治が担った。プレーボーイのテレビプロデューサー役を演じる。
 映画のリメイクと出演は自身が強く希望した。「演じ手の年齢が限られる役なので、ぎりぎりやれる間にと、むずつと夢想していた」3年ほど前から方々で「やりたい」と声をあげていたのが今回実った。
 妻のほかに9人の愛人を持つ風松吉。自分だけのものにならない風にいらたった女たちは、結託して風を殺す計画を立てる。1961年公開の映画には岸洋子、山本富士子、中村玉緒らがかおをそろえた。
 最初に映画を見たのは、大学生のころ。「スタイリッシュでアバンギャルド。女性たちの本音のせりふがまぁ面白く、ちちがつかみどころのない男を軽妙
 連続ドラマ「黒い十人の女」主演
父が演じた役「僕の解釈で」 
曲・コブクロ 永遠とともに 洒落にふわふわっと演じていたのも印象的だつた」
 その後、見返すたびに違った印象を受けた。「この映画に男は出て来ねぇんだなと。風松吉というのは、10人の女たちが作りあげた幻想なんだと、この年で感じるようになった」
 昔なら、父と同じ役は絶対に嫌だったという。変わったのは50の声を聞いてから。「父が、背比べをする存在じゃなくなるっていうんですかね。父が残した役を、僕なりの解釈でやりたいという気持ちが自然とわき上がって来た」
 ドラマは芸人のバカリズムが脚本を手がけ、水野美紀、成瀬璃子、トリンドル玲奈ら、幅広い年代の女優と共演する。自身の風松吉は「女性の心の隙間にふっと入り込む風のような男」。父の風と違い、「あったかさ」を根っこにしたいと役作りを語る。
 映画版が公開された60年代は、娯楽の中心が映画からテレビに移っていった。そんな時代を背景にテレビ局を舞台にした映画版は「思い切った風刺の物語でもあった」と評する。それから50年、娯楽の王様だつたテレビは新しいネットメディアに脅かされつつある。「そんな現代だからこそ、もう一度この作品を通じて、いろんなことを問いかけられたら面白い」
姿月あさと 「弟たち」とライブ 28日、兵庫・西宮
滝沢美穂子撮影
 ボーカリストの姿月あさとが28日、伊礼彼方、マテ・カマラスというミュージカル界の実力派とライブを開く。珠玉のミュージカルナンバーを中心にポップスも披露。
 プライベートで仲が良く、伊礼に「姉さん」、マテには「シズーキー」と呼ばれ、慕われている。2人の「弟」はともにミュージカル界のスター。伊礼は路上ライブで腕を磨いて大舞台へ飛躍した。ハンガリー出身のマテは、日本でも人気のミュージカル「エリザト」のウィーンやブダペストの公演でトート矢を演じた。
 彼らを見守る姿月は宝塚歌劇団の元トップスターだ。歌声は宝塚時代から高く評価され、退団後はポーカリストの道を進んだ。ライブモフブロデュースするなど、ほかの宝塚出身者とは一味違った存在感。
 三人三様の持ち味がどう共鳴しあうのか、姿月は「何か楽器も演奏します」と明かす。「マテさんは最近、ウクレレにはまつているんですよ。私は物覚えがどんどん悪くなっているかせ、覚えられなくて大変だけど、稽古機関も含めて楽しみたい」
 28日午後3時、兵庫県西宮市の県立芸術文化セン中ホール。1万円。キョードインフォメーショ(0570.200.888        (谷口晃子)
いずみホール制作「どん・ジョバンニ」
引き出し合う歌手陣 個性光る
登場人物の個性が光る舞台であった。それも演出家栗國淳のねらいの一つであったかもしれない。だが、コンサートホールで行われるゆえに限らた舞台設備のもとでは、歌手自らの歌作り、役作りがなければなし得ないものであっただろう。いずみホール制作のオペに、モーツァルトの「ドン・ショパンニ」である(3日いずみホール)。歌手陣のバランスが良い。掛け合いともなれば互いの歌を引き合いに�出し合う。例えば第2幕の冒頭、ジョパンニ扮したレポレッロ(西尾岳史)とエルビラ(澤畑恵美)のやり取り。澤畑は一貫してエルビラの性格や感情の推移を歌い分ける秀逸であった西尾の調子をうまく引き出し、その後の流れを決定づけた。あるいはアンナ(石橋栄美)とオッターピオ(清水徹太郎)、マゼット(東平聞)とゼルリナ(老田裕子)のやり取りしかり。前者はいずれも透明感のある美声で落ち着いた正確な歌い回し。後者は軽くはめを外した優しい歌い口で、二組の身分や置かれた状況の違いを暗示させもする。
 歌手や演出によって人物像に違いの出るジョバンニはどうか。黒田博はこの題名役を好色な極悪人という自由奔放でコミカルに
人物に演じ、地獄落ちの場面も勧善懲悪というより喜劇的な印象を残すものにした。亡霊となった騎士長(ジョン・ハオ)の鷹揚な歌声とのコントラストも見事。
 一方、オーケストラ(ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団)にはやや不満が残る。全体の流れを重視する河原忠之の指揮は、フィナーレなど盛り上がる場面では功を奏するが、細部のフレーズや装飾が総じて流れがち。物語の状況を陰で伝えるだけに、このもう一人の登場人物の存在をもっと堪能したかった。
  (能登原由美・音楽評論家)
 大坂・西成の芸術拠点をめざし、昨年開場した「アートグラウンドCocoromi」で、初の演劇祭が22日から開かれる。アートディレクターを務める樋口ミュ主宰の演劇ユニット「Piant M」は気鋭の劇団「匿名劇場」が公演する。
 Cocoromiは、大坂市西成区町1丁目にある出口ビルのワンフロアを、演劇などができるように改装した空間だ。樋口は子ども向けのワークショップも積極的に開いて、「近隣の劇団とも連携し、ソフトを充実させたい」と話す。
 演劇祭では、世代の異なる団体の共演による新たな客層へのアプローチも狙う。匿名劇壇は2011年に近畿大学生らで結成した若手の劇団、代表の福谷圭佑は(樋口が)芝居をつくる姿を間近で見られるのは、すごくいい経験になる」と喜ぶ。
 匿名劇壇の「戸惑えよ」は22~25日、「Piant M」の「君ヲ泣ク」は25日~10月2日。それぞれ当日3千円、高校生以下500円。事務局(090.9160.7847)
       (向井大輔)   大阪・西成で演劇祭
「COCOROMI」に2劇団