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川喜田半泥子作 伊賀水指「欲袋」 1940年 高さ18×胴径22センチ
  【石水博物館】津市垂水3032の18(?059.227.5677)10時~17時 500円。原則月休み。2点は12月8日まで。 井戸茶碗「紅葉山」朝鮮時代 高さ7.8×口径16.3×高台径5.7センチ
 割れたり書けたりした陶磁器を漆で繕う修理法「漆継ぎ」。室町時代に開花した茶の湯の文化と共に発展してきたとされています。破損部分を目立たせない西洋の修復とは違い、あえて継ぎ目に金や銀、色漆で装飾することで、不足の美を「景色」としてめでる、日本人の感性が息づいているのです。
 当館は、伊勢の豪商・川喜田家歴代当主が収集した茶道具や絵画、古書典籍などを所蔵しています。第16代当主
 継ぎ目に金銀漆「不足」の美学 
 ・川喜田半泥子(1878~1963)は「東の魯山人、セ氏の半泥子」と称された多芸多才な人物。侘び茶に精通し、自宅に窯を築くほど茶陶づくりに没頭しました。冬季の自然な割れや歪み、へたりを好んだ半泥子が、繕うことで新たな価値を見出したゆかりの2作品を紹介しまする。
 代表作の「欲袋」は、旧津幡主・藤堂家の屋敷で見た古甲賀の水指「破袋」を範として、3点作ったうちの一つ。京都の継ぎ師に頼み、窯割れを漆で継いで青海波の蒔絵を施してます。自由な精神で「破格」と評される半泥子は、焼締の土肌に金の華やかさを取り合わせ、「欲」に下心をつけるという遊び心あふれる銘をつけています。
 もう1点は、半泥子が愛藏した井戸茶碗「紅葉山」。利休の師・武蔵招鴎の所持と伝わる一椀で、朝鮮時代に焼かれたもの。施釉の際にできた陶工の指痕が素朴さの中に豪快な風格を漂わせ、半泥子し茶碗づくりの手本としました。金の繕いが、歴史の深みを引き立たせています。
   (聞き手・井本久美)
 「ゲノム編集技術」でできた食品が市場に出回る直前だという。
 そもそもゲノム編集って何?
 まずは、技術の近くにいる人とその現場を訪ね歩くことにした。
 最初は研究現場から、徳島大学で准教授の刑部佑里子(51)に実験室を見せてもらった。冷蔵庫のような装置は温度や光を調節できる植物培養器だ。扉を開けると、棚に並ぶプラスチックケースから緑色の葉が見える。
 「トマトです」
 タネから芽が出て小さい葉になつたところを切り、葉に「アグロバクテウム」と呼ばれる土壌細菌を感染させる、菌には、特定の遺伝子に変異を起こす「ゲノム編集」を行う分子が組み込まれている。培養すると、植物の細胞が増殖して塊状になる。そこから再び出てきて、特定の遺伝子に変異が入ったトマトが再生する。
 イチゴ、リンゴ、ブドウなどいろいろな植物を使って研究している刑部は「収量を増やす、植物を病気から救うなど、ゲノム編集技術は様々な課題解決に役立つ可能性があります」と力をこめる。

   ■    ■   ■
 トマトの遺伝子 チューイング ゲノム編集って何? ①
  研究室から市場に出ていきそうな作物もあると聞き、筑波大教授の江面浩(59)を訪ねた。
 その作物は、血圧の上昇を抑える働きがある「GABA」成分をより多く含むトマト。国産ゲノム編集食品第1号の候補とされる。
 江面は「新品種」作りにこだわる。原点は、茨城県園芸試験場に勤務していた1980年代。バイオ技術で「寒くても大きくなるメロン」を作ることが課題だつた。
 かつて品種改良は、病気に強いが小さい実と、実は大きいが病気に弱いといった品種を交配し、その中から目的の性質を固定していった。その後、化学物質や放射線などで突然変異の頻度を高めて品種改良に利用することが始まりだつたが、根気よく選抜と検証を重ねる作業は変わらず必要だった。
 江面は、バイオ技術で突然変異を誘発した種を低温でまき、発芽するものを選ぶことを「気が遠くなるほど」こなし、新品種の元を作った。名産メロン「イバラキング」は江面の研究を継いだ人たちが実らせたものだという。
  筑波大に職を得た後、研究対象をトマトに変えた。10~20センチと背丈が低く、たくさん室内栽培できる「マイクロトム」と呼ばれる品種を使う。特殊な薬品にひたした種を発がさせ、突然変異体を作っては蓄積していった。
 約1万7千種類のコレクションの中には、日持ちがいい、暑くても受粉しなくても実がなる、赤い実がなるなと、都合がいい特徴をもつのも現れた。調べると、それぞれ特定の遺伝子がわずかに変異したためにこうした特徴が起こっていた。遺伝子に変異を入れることができる「ゲノム編集」技術を使えば、栽培品種にこうした特徴をつけた新品種ができる。
 江面はいう。
 「トマトのもつ3万5千の遺伝子を、チューニングするようなイメージです」
  =敬称略
  (編集委員・瀬川茂子)
令和元年(2019.9.29)(土)   朝日新聞夕刊