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 20日開幕のラクビー・ワールドカップ(W杯)日本大会。試合のチケットが手に入らなくても、無料で会場さながらの雰囲気に浸れる場所がある。
 試合がある全国12都道府県の16カ所に設けられる「ファンゾーン」だ。最多の8試合がある東京スタジアム(東京都調布市)に近い)調布駅前広場もその一つ。6日の南アフリカ戦では、ファンゾーン(PV)会場になった。
 夕方、ラクビーのジャージーを着た家族連れや会社帰りの人たちが続々と集まる。縦3メートル、横4.8メートルの大画面前にはベンチ、後にはテーブル席が並び。周囲は立ち見すへーすに、W杯出場国にとなんで、アフリカ風のチキンライスやイタリア人シェフのラザニア、東京産食材の冷しゃぶなどの出店もあり、いいにおいが漂う。

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 東京都世田谷区の会社員沼田昌幸さん(60)はいつ体感をもつて応援したい」と日本代表のジャージ姿で気合十分。6試合のチケットを確保し、「他の試合も可能な限りPVに行きます」。
 試合開始、選手たちの姿が画面に映し出されると
、「かんばれ!」と声援が飛んだ。日本の主将リータ・マイケルが引き締まった表情で、額に汗を浮かべた姿もくっきり見える。
 後半20分、日本が初トライを奪うと、海上は歓声に包まれ、拳を突き上げる人も。最終的には南アが41-7で日本をねじ伏せ、2500人の観衆がらため息があふれた。東京都の担当者は「みんなで盛り上がり、プレーも良く見える。PVはテレビと会場のいいとこどりです」。この日の会場運営の教訓を本番に生かす。
 開幕の日本―ロシア船は20日夜キックオフ。W杯がいよいよやつてくる。
   (文・佐藤純 写真・江口和貴)   調布駅前広場
  (東京都調布市) 
 
 「平成の大合併」を拒否した岡山県西粟倉村が2008年に発表した「百年の森林構想」は、「村の未来をあはらめない」という言葉だつた。
 村の面積の93%を占めながら荒れた森林に道をつけ、間伐を勧める。村ぐるみで整備した森林から出る木材を加工し、付加価値をつけて売る。林業を軸として地域を再生する構想だ。

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 岐阜県で木の家具職人として働
とんがった若者に選ばれて 
             ベンチャーの村 2⃣
 いていた大島は09年1月、構想発表したばかりの西粟倉を初めて訪ねた。「植えられて50年たつ森の整備し、50年後の世代に美しい森として受け渡し、資源としても活用する。その発想がすばらしくて、自分も一因に加わりたいと思いました。僕、きれいごとが結構、好きなんです」
 もう一つ、大島の心をとらえたのが、村の人工林の6割を占めるヒノキだつた。軟らかくて加工は難しいが軽くて木目が美しく、肌触りがいい。間伐材を家具につうことで、構想を前に進める一助にもなる。この材で世界中から買いに来るような家具をつくろう。早速、09年8月に移住し、ようびを立ち上げた。
 大島のインタビューは、昨年5月完成の新しい工房で行った。前の工房は3年前に失火で全勝。それでも村を去らなかった。「片づけを村の人が手伝ってくれた。前
㊤新しい工房で話す大島正幸、背景の椅子はすべてヒノキづくり。天井も間伐材の木組み工法だ。
㊦ボイラーに薪をくべる井筒耕平=いずれも西粟倉材 を向こう。ここで再興しようと決めました」。一人で始めた会社では今、15人が働いている。

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 肉粟倉にある三つの温泉施設で加熱用の「薪ボイラー」を運用しゲストハウスも運営する会社「sonraku」を経営する井筒耕平(44)も、自分のやりたいことを存分にできる場所として西粟倉を選んだ。
 名古屋大学大学院で環境学を学び、環境コンサルタント会社で自治体向けに再生可能エネルギー導入のビジョンや計画をつくったいた井筒のやりたいことは、水蟹がエネルギー供給のプレーヤーになることだつた。
 ずっと気になる存在だった西粟倉村から、間伐材をつかつた薪ボイラーを村有施設に導入するコンサルタントを頼まれ、13年に来村して驚いた。「とにかく村の職員の熱気がすごかった。いろんな自治体に行ったけど、違ってた。ここなら自分も成長できる気がしました」。翌年。薪ボイラーの運用を担うか会社を立ち上げた。
 大島や井筒と話していると、「地域は選ばれている」と実感する。本気か、自分の成長できる場所か。「百年の森林構想」という旗を立てたことで西粟倉は「ローカルベンチャーの村」になりえたのだ。
 大島は6年前、生まれた長女に「百森」と名付け。「ももり」と読む。まんまですね? そう聞くと大島は絵顔になった。「構想は未来への希望。それに字面や音もいいと思ったんです」
     =敬称略(神田誠二)
 令和元年(2019)9月20日   朝日新聞夕刊