香取慎吾3/1 草薙 剛4/5  稲垣吾郎5/3 
  
 東日本大震災ま発生から、11日だ9年になりますね。
 あのころの僕は、4月から放送の月9ドラマ「幸せになろうよ」の撮影をしていました。その取材で新聞や雑誌の記者の人たちに来てもらったのが、発災の数日後だったんです。
 インタビューの最中に、記者の女性の方が涙を流し始め    
香取慎吾 
 たりして・・。ずっとエンターテイメントの仕事をしてきて、一番、僕の、自分たちの仕事って何だろう、と考えた瞬間でした。いまここでドラマの意気込みを話していいのか、気持ちの整理がつかなかった。「SMAP×SMAP」でも急きょ生放送をして、自分たちに何ができるか考えました。
 上を向くきっかけ 作れたら
  最初は、被災地に行きたいと思っても、ちゅうちょしているなら行動しない方がいいんじゃないか、とも思った。
 でも、被災地の人たちに会ってみて、一人でも笑顔で「来てくれてありがとうね」っていってくれるならいってもいいんだと思えるようになりました。バラエティー番組や歌、お芝居が、笑顔をうむ力もあるんだな、自分たちの仕事は、少しかもしれないけど、みなさんの心に寄り添える仕事であるんだと、強く思った。
 出した答えは、行きたい、会いたい気持ちに正直であれとということ。いまも、それは間違ってないのかなと思います。
 2018年の夏に、映画「凪待ち」の撮影で宮城県石巻市や女川町に行ったことも大きかった。暑がったので、アイスやジュースをくださった地元の方がいたんです。「震災で家族も全員いなくなっちゃったんだよ」って、笑顔で差し入れてくれながらも涙していた。「撮影に来てくれてありがとう、がんばってね、楽しみにしているよ」って言
われて・・。その思いに応えたいと思いました。
 この連載で吾郎さんが、震災以降、「国民的アイドル」ということや、自分たちの役割について感じるところがあったと話していましたね。僕も、それはあると思います。
 日々の生活の中で下を向いてしまいそうなとき、上を向くきっかけを作れるといいなというのが、僕ら仕事。あれだけのことが起きてしまうと、動いていいのかさえわからなくなってしまうけど、そんなときこそ、きっかけを作っていきたい。いつもの仕事の中心なんだから。
 台風19号で大きな被害が出た去年は、アベマTVの番組を通じて、日本財団と一緒に「ななに1基金」を立て上げました。継続してきた思いに、力を貸してくれる人が増えて来たと感じています。
 こういう活動も、エンターテインメントで力になることと同じ、自分たちの役割の一環で、区別しない方がいい。そう思えるようになったのは、東日本大震災がきっかけでした。自分達にもできるんだ、と。
   (聞き手・滝沢文邦)
 
令和2年(2020.3.2) 朝日新聞朝刊