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 今年はベートーベンの生涯250年。僕は12月から、舞台「No9-不滅の旋律―」で、ベートーベンを演じます。今回で3度目の公演です。舞台は、毎日稽古場に集まって、公演日数よりも長い時間をかけて完成させていくのだから、1回だけでもったいない。「必ず再演したい」が合言葉なんですけど、    
稲垣吾郎 
再々演まで続けることができて本当にうれしいです。
 舞台つて生き物だから、同じものは何ひとつない。同じようにやり続けることがお芝居に対するエチケットでもあると思うので、特に新しさを意識してやるということはないんですが、やっぱり時間ともに変わっていく、2年ぶりの公演で、スタッ
熱気とにおい 舞台ならでは
 フ・キャスト全員がそれぞれ違うことを経験して集まるから、新してベートーベンをお伝え出来るのかなと思います。
 コロナの影響もあってお客さんもエンターティメントを持ち望んでいたと思うし、僕らもそう。だから今回は、熱気みたいなものがより強いのかな。舞台では熱風のようなものを感じます。劇場のにおいも好き。最初とエンディングを迎えたときの、舞台上のにおいが違うんですよ。単純にスモークを使うということもあるけど、人の熱気で変わる。舞台ならではのそういうものを求めて、皆さんもやってくるんだと思います。
 ベートーベンは、超人的な天才というだけでなく、人間味があるところも魅力的、なにを考えているわからない人じゃにくて、喜怒哀楽がはっきりしている。どちらかというと僕の方が隠したがる性格なので、僕とは全然違います。今までいろんな役を演じているけど、自分の中でも一番激しい、熱を帯びた役なので、演じるのはやっぱり大変。自分じゃない自分が降りてこないとできないですね、
 NHKでベートーベンを紹介するプロジェクトのアンバサダーも務めているので、番組で深堀することで面白い発見があったりし、指揮者やピアニスト、音楽関係者の知り合いも増えました。ベートーベンは激しい曲が多いから、ワインを飲みながら聞くならバッハやモーツアルトがいい、っていう話もありました。もちろん、とても優しいナイトキャップになるような曲もあるので、気分や環境、状況によって聞き分けることができると思います。
 僕が好きな曲の一つは「ピアノソナタ第31番」。舞台でも、象徴的なシーンで流れる優しい曲です。それを聞くと僕自身が癒されて、後半がんばれる。実際に演奏するピアニストもいる舞台なので、僕1人ではなく、彼らとベートーベンを演じているという面もあります。出演者・スタッフ、お客さんも含めて、19世紀のオーストリアを再現していく。その世界にいざなってもらえるから、僕も役になれる。舞台って、不思議ですよね。
     (聞き手・伊藤綾)
 
令和2年(2020.5.4) 朝日新聞朝刊