池田エライザ 松原智恵子  岡田准一  香取慎吾   石橋静河  菅田将暉     
  かとう・しんご  1927年、神奈川県うまれ。91年、CDデビュー。テレビドラマ「新選組」「西遊記」、映画「座頭市 THE LAST」など凪待ち」は28日公開、脚本の加藤正人が書いた同名小説(キノブックス)も発売中
 アイドルスターの衣装を脱いだ大器が、年齢に合った魅力を発揮し始めた。「演技は苦手なんですが、もし僕を求めて下さる方がいるなら、また映画をやりたい」
 文・石飛徳喜 
     写真・岡田晃奈

香取慎吾主演
 映画予告編
 「凪待ち」
 「え、僕ですか? 草彅じょないんですか、って思いました(笑)」
 白石和彌監督から「あなたと仕事がしたい」とオファーを受けた時の感想だ。「演技が苦手なんです」
 三谷幸喜や坂本順治の映画で強い印象をの残してきた。だから演技が苦手だと思ってもみなかった。でもそう言われれば、草彅剛や稲垣吾郎のように、どんな役でもこなす器用なタイプじゃないのかもしれない。
 ジャニーズ事務所を離れて最
 僕は素材 作らず挑む
初の単独主演作、「プレッシャーがありました。空回りして『僕、頑張りました』と言っちゃいそうな感じ、それを白石監督がほぐしてくれた」
 彼が演じるのは自堕落な中年男の郁男、恋人の故郷の宮城県石巻市に行き、心機一転、地道に暮らし始める。ある日、郁男は恋人とケンカをして、乗っていた車から放り出す。その夜、彼女は何者かに殺される。
 郁男には次々参事が降りかかり、再び自暴自棄になる。トレードマークの笑顔は封印。アイドルス
ターの輝きを見事なまでに消している

 「だとしたら監督のおかげです。映画に限らず、歌にもバラエティーにも演出家はいる。そこで僕は素材です。だからうまくいかなければ監督のせいにできる(笑)」
 特に役作りはしない。撮影現場の空気に合わせて演じていく。「10代で出演したNHKの時代劇で、セリフをしっかり入れて臨んだんです。でも、緊張して全然うまくいかなかった。
 以来、役作りはやめました」
 東日本大震災の被災地で撮影しながら、白石監督は人々の苦労や絆を強調したりはしない。それゆえに郁男という人間の、よそいきでないリアルがにじみ出ている。
 「セリフだと思うと、口にするのが難しい。でもそこに住む方たちが実際に話している言葉なんです。震災への思いの表われ方は、人によって様々だということも、現地を歩くことで知りました」
加藤諒 舞台版に続き主演
 
 28日公開の「劇場版パタリロ!」同人人気ギャグマンガの実写化だ。主演は、原作者・魔夜峰央が「生きたパタリロ」と絶賛する加藤諒。しかし最初に原作を読んだ時は「自分が似ているとは思わなかった」と語る。
 1978年の連続開始から40年以上愛され、累計発行数2500万部。加藤は2016年の「2.5次元ミュージカル」版で初めてパタリロを演じた。「僕は目が大きくて、原作とは違う。似ているのは主に頭身やシルエットでしよう」
しかし、すご腕エージェン
トで美少年キラーのバンヒラン(青木玄徳)、謎の美少年マライヒ(佐奈宏紀)という耽美な2人を相手に、歌って踊って変態でバラックなパタリロを快演した。「バタリロは国王になるので、品のある『いい子』を演じようとしたら、演出の小林顕作さんが『もつと腹黒さを』と
   


映画ハチャメチャなパタリロを 
。振れ幅の広い大きな主人公と、マンガのとっぴな世界を、舞台の制約の中で作り上げていくのが楽しかった」
 小林が監督し、加藤、青木、佐奈が出演して映画版が出来上がった。「映画版だからって『リアルに』なんて考えず、思い切りチャメチャな僕らのパタリロワールドで行こうと思った」
 常春の国マリネラ王国の次期国王パタリロが何者かに命を狙われ、強引に護衛役にさせられたバンコランと、記者と称して密着取材かるマライヒの妖しい愛が燃え上がり、パタリロはバンコランの少年時代にタイムスリップしたり、宇宙戦争に巻き込まれたり・・。
 小劇場っぽい簡素なセットや、舞台そのままのアナグ
  な場面転換。低予算を逆手に取った演出かと思えば、宇宙人の大群が暴れ回るCGシーンも、「僕は、一瞬のうちに『ガラスの仮面』の月影先生に変身した。
 「寅さんのように長く演じ続けて」というのが魔夜の願いだ。「僕もそう、まずはたくさんの人に映画を見ていただき、そしてまた舞台をやりたいですね」
       (小原篤) 
令和元年.6.28日(金) 朝日新聞夕刊