1969・1991  1951・1972・1970・1972  1969.1972.1982.1987  1980.1981.1985.199  




    





◆時代を切り取った写真を振り返り、次代を
象徴した「ことば」への想いをつづります。
 
 それなりに
  「今の子どもたちは、努力して何かを得ようとする気概がない」ある予備校の先生がこんな趣旨の話をしてくれた。
 高校3年の最初の模擬試験で偏差値が出るとそれに合致した大学を選ぶ。はなからそれ以上を望まない、親「それなれの大学に行ってくれればいい」。行きたい大学を目指して必死に努力している学生もいる。その二極化が気になると言うのだ。
 「それなり=その状態のまま」が悪いわけではない。戦いを挑んで傷つくよりも、群れの中でそれなりの幸せを得られるなら、その方がいい、
内へ内へ入り込む、いさかいをおこさない、同じスピードで働く。イワシやの大群はそうやって、外敵に襲われる確率を低くしている。
 僕は昔から群がるのが得意ではなかった。群れにいると、暗黙の約束事が生じる。それを反故にすると場の雰囲気を壊す。何よりも、その言い訳をしなくてはならない自分が嫌だった。
 これって、SNSでつながっている小さなコミュニティーに共通している問題とも似ている。大勢に逆らえない、繋がっているのにわかり合えない。人間関係に疲れる・・。
 我々の多くは、将来性がある
とおぼしき職場を目指し、そこで群れる。それには「それなり=それ相応」の努力が必要だ。ところが、変化の激しい時代に将来の保証された職場があると思うのは、もはや幻想だ。ならば群れから少し離れて、そりなりにはない何かをつかんでおいた方がいい。
 「美しい人より、そうでない人はそれなりに」という写真プリントとのCMをつるべきかもしれない。
  (朝日新聞メディアプロダクション校閲事業部長 前田安正)
 
  東京中央郵便局で行われた年賀はがきの受け付け開始行事。翌年のえと「寅」にちなみ、映画「男はつらいよ」で「寅さん」を演じる俳優の渥美清さんが招待された。
 渥美さんは「体を壊して療養所にいた若い頃、一緒に入所していたお年寄りが自分の所へきた年賀状をもって、すごくうれしそうにしていた」との思い出話を披露した。郵便局員らにエールを送った。
 ちなみにこの年発売されたお年玉付き年賀状はがきは約32億枚。1等賞品はビデオテープレコーダーだった。  寅さんも一役  
    











◆時代を切り取った写真を振り返り、次代を
象徴した「ことば」への想いをつづります。
 
 なめ猫
 男子の長ランの詰襟は、首が埋まって耳まで届こうかというほど高く、もんぺみたいなボタンはももの部分が無駄に太い。ベルトは細く、靴はとがったエナメル。髪はリーゼント。
 女子は足首が隠れるくらい長いスカートを弾きづるようにはき、眉はほとんどない。たいてい校則に反してパーマをかけていた。しんし、おしゃれ感はなく、母親と大差ない髪形だつた。
 男女に共通しているのは、薄い学生カバン。みずにつけて重しを置いて成形する。女子の場合は持ち手をハンドバック風に改造、テープが巻かれている。
教科書はおろか弁当すら入らない。
 高校時代のツッパリは、こんな感じだった。凡庸な僕は、そういうファッションとは縁がなかった。底が広がって、横から見ると台形に変形したカバンに大きな弁当と本を詰め込む。ダサい存在だったのだ。そんな流行が猫にまで及ぶなんて。
 ツッパリには気のいいのもいたが、猫ほど可愛くない。なかには、竹刀を振り回してケンカを吹っ掛けてくる輩もいたので、用心に越したことにない。
 その日は、放課後、本を買うために繁華街を歩いていた。すると、ツッパリ4,5人に囲ま
 れた。男子にはなく、それは女子だつた。なかに、芸能人とみがうほど奇麗な女子がいた。同じ高校生とは思えないほど大人びている。
 怖いので下を向く。が、顔が見たい。はけないように顔をちょっと上げる、と、「なめんじゃねえ」。その顔がまたいい。
 大したお金も持ってないし、脅かしがいもなかったんだろう「なめんなよ」。お尻を蹴られ放免された。その後、街で何回か彼女を見かけた、目が合ったが、完全にシカトされたのだつた。
(朝日新聞メディアプロダクション校閲事業部長 前田安正)
 
  爆発的ヒット商品となった「たまごっち」。60の露店並んだ三重県浜島町(現・志摩市)の「伊勢えび祭」では「たまごっち」を賞品にしたくじ引きの店が10も出た。
 液晶画面上のペットに餌をやったり、遊んだりして卵から育てていく携帯ゲーム。1968年11月の発売後、女子高校生らの間でブームとなり、全国のデパートなどでは入荷すると即完売という品薄状態が続いていた。
 ある露天商は「おもちゃ屋でも1人1個しか買えないから、アルバイトに並ばせて手に入れている」。  たまごっち露店  
 令和元年(2019.12.17日)    朝日新聞夕刊より