ドラフト指名           
ドラフト指名漏れで涙 近江・林の現在地   
  2019年がまもなく終わる。高校野球担当として、どうしても話を聞きたい人がいた。滋賀・近江の林勇樹(18)だ。高校日本代表にも選ばれた左腕は、10月のプロ野球ドラフト会議で指名されず、涙した。そもそも、一度は挑まないと決めたのに、なぜプロの世界に飛び込もうとしたのか、理由を聞きたくて、彦根城の近くにある学校を訪ねた。
 再びバッテリーを組みたいと口をそろえる近江の有馬と林
 右下、第100回全国選手権記念大会準々決勝でサヨナラ負けをした林を(右)奥で倒れ込んでいる捕手有馬
第90回記念選抜大会3回戦の星稜戦、林(左)に話しかける有馬
 終業式があつた12月20日、林とは、9月に幕を閉じたU18(18歳以下)ワールドカップ(W杯)以来の再開だつた。髪はすっかりのびていた。
 林といえば、思い浮かぶのが昨年夏の第100回全国選手大会準々決勝。秋田・金足農に逆転サヨナラ2ランスクイズを決めらけ、マウンドで表情を失っていたシーンが印象に残る。
 身長174センチ、体重64キロ。細身で小柄な左腕は、3大会で甲子園のマウンドを踏んだ。     
 「3年後、絶対」家族の夢へ歩み新たに
 身長174センチ、体重64キロ。細身で小柄な左腕は、3大会で甲子園のマウンドを踏んだ。直球は決して速くないが、抜群の制球力と独特の投球テンポ、そして強打者が面白いように空振りするチェンジアップで、全国の強豪と渡り合ってきた。高校日本代表でも外国人の強打者に通用する左腕として、重宝された。
 しかし、U18W杯のころは社会人に進むことを決めていたはず。なぜ突然、プロを志望したのか
 「自分では、まだプロに行ける
とは思っていませんでした。ただ、家族から『一度きりの人生、挑戦したみたら』と背中を押され、2週間話し合いました。悩んだ結果、挑戦しようと。小さい頃からプロ野球選手は家族の夢でもあったので」
 10月17日のドラフト会議で、林は指名されなかった。予想はしていた。ただ、取材対応では涙をこぼれた、「ドラフトに関しての涙ではなく、これまでの過程を気化されたときに、すぐ泣いちゃうんで、ちょっとだけ出しました」高校3年間を思い返して感傷的になった。自宅に帰り、両親から「悪かったな」と声をかけられた。「3年後、絶対に行くから」林はそう伝え、決意を新たに社会人野球でプレーすることにした。

  無二の相棒もともに

 林を語るうえで、欠かせない相方がいる。主将の有馬諒(18)高校入学後から林とバッテリーを組む。昨夏の金足農戦のラストシーンも、林とともに経験した。今夏の滋賀大会で林をリードした26イニングは無失点。甲子園では全国屈指のバッテリーと注目された。
 ドラフト当日、学校で林に会えなかった有馬は電話をかけた。「みん
なで(結果を)待っていようか」。林の返事は「指名されんから、帰っていいよ」。
 そんな林の振る舞い方に、大学進学を希望していた有馬き「自分は志望届を出せなかった。もし中途半端な気持ちでドラフトにかかったとき、本当にその世界で生き抜く覚悟がなかった。指名されるかさけないかわからない状況で志望届をだせなかつた林を素直に尊敬します」。林の選択は、有馬にプロを意識させる契機となつた。
 林は西濃運輸へ、有馬は今秋の明治神宮大会で準優勝した寛大へ進む。早ければ、林は3年後、有馬は4年後に、プロの扉をたたくことになる。有馬は言う。「投手と打者で対戦するのは、考えられないですね。だって高校時代に2度くらいしか林と対戦したことがない。あとは全部バッテリーでしたから」また18.44メートル先で向き合える日を思い描きながら、2人はそれぞれの道に進む。
        (小股勇貴) 
 伊藤 今年最後の虎バン主義です。未来の話をしましょう。2日に新入団選手の発表があり、8人が縦じまに袖を通しました。
今年はドラフト上位5人が高校生。将来性にかけた指名になりました。
 高野 各選手の発言を聞いていても、個性が出ますね。矢野監督がほめていた     
新入団会見 個性あふれた決意
 
 のがドラフト4位の遠藤成(神奈川・東海大相摸高)。遠藤が「チームにいなくてはならないバッターになります」と言い切ったところを挙げ、「この断言が大事」と話していた。
 伊藤 こうした会見で、私たち新聞記者は見出しになるような発言を期待するものだす。アナウンサーの視点では、どんなところに注目するのですか。
 高野 やっぱり自分の言葉を持ってる選手には好印象を持ちますね。今夏の甲子園に出場した遠藤は、甲子園の土の印象を問われて
 
 「イレギュラーしないし、湿っているのが良かった」と話していました。ドラフ
 フト1位の西純矢(岡山・創志学園高)もウィットに富んだ受け答えをしますね。昨夏の甲子園で活躍したスター候補で、愛嬌がある。
 伊藤 私は育成ドラフト2位の奥山皓太(静岡大)が印象的でした。阪神が初めて指名した国立大の選手で、話も理路整然としている。受験勉強のことを聞くと「得意科目はなかったですが苦手もなかった」と。プロでも走攻守そろつた選手を目指しています。
 高野 彼は声も良かったですよ。控えめだけど、「糸井選手のようになりたい」と大きな目標を掲げていたのも印象的でした。